心エコー図検査を行う前には聴診を!
心エコー図検査を行う前には聴診を!
これは、恩師である吉川純一先生の教えです。吉川先生は技師にもこのことを実行するよう指導しておられました。吉川純一先生のフィジカルイグザミネーションのエッセンスは下記の著書にまとめてあります。
私自身がこの教えを十分指導してこなかったことを反省することがありました。ある患者さんの話です。その方は過去に他の病院で「A」という診断名がついておられるとのことでした。しかしながら、心エコー図を行っても、「A」の所見がありません。経食道心エコー図まで行いましたが、やはり「A」の所見はありませんでした。主治医によると聴診でLevine 5/6の心雑音が聴取されるとのこと。そうです、実は診断は「A」ではなく「V」だったのです。あとから、記録した心エコー図画像を見直してみると、確かに「V」の所見が記録されていましたが、検査所見にはそのことは記載されていませんでした。検査の直前にあの特徴的な心雑音を聞いていれば、おそらく検査時にその原因を探しにいったはずで、必ずや診断にたどりついたと思います。
今回の経験は「非注意性盲目(Inattentional blindness)」の実例でもあります。私たちはたとえ、視野の中に入ってても、注意を向けていないあるいは予期していないものを容易に見落としてしまうのです。以前もリンクを付けましたが、下の動画がその実例です。
白チームが何回パスしたかを数えてみてください。