左室内血栓に対するDOACの適応外使用の結果は
JAMA Cardiologyに左室内血栓に対するDOACの適応外使用はワルファリンと比較して脳卒中や全身塞栓症を増加させたとの報告がありました。
心エコー図で左室内血栓が認められた514例中、300例がワルファリンで、185例がDOACで治療を受けました。多変量解析の結果、SSE(stroke or systemic embolism:脳卒中または全身塞栓症)の予測因子はDOAC使用(vs. ワルファリン HR, 2.64; 95% CI, 1.28-5.43; P = .01)とSSEの既往 (HR, 2.07; 95% CI, 1.17-3.66; P = .01) であったとのことです。つまり、DOAC使用例の方が塞栓症を起こしやすかったのです。
Am J Medにも同様に99例の左室内血栓の検討が報告されています。80例がワルファリンで、19例がDOACでそれぞれ治療され、1年間で脳卒中はワルファリン群で2例、DOAC群で0(有意差なし、P=0.49)、出血イベントはそれぞれ4例と1例(有意差なし、P=0.96)と同等であったとのことでした。
Clin Drug Investigには左室内血栓59例中、17例(28.8%)がDOACで42例(71.2%)がワルファリンで治療され、血栓の消失率はDOAC70.6%(12/17)とワルファリン71.4%(30/42)と同等であったとの結果でした。DOACで血栓が消失しなかった5例全例でワルファリンで血栓が消失しました。抗凝固療法中の塞栓症はDOAC群で11.8%(2/17)、ワルファリン群で9.5%(4/42)とやはり同等でした(P=0.8)。
心房細動と左室内血栓を合併していた場合にどちらを選択すべきか。悩ましいところです。