What's up? Cardiology

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ESC2020:RATE-AF ジギタリスによるrate controlがβ遮断薬に勝る?

RATE-AF (RAte control Therapy Evaluation in permanent Atrial Fibrillation) 試験では,

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ESC2020より

60歳以上の症候性(>=NYHA II)AF患者160例をジゴキシンとビソプロロール(商品名:メインテート)群にランダム化した試験。12ヶ月後のQOLには差はなかったが、NYHA Classはより改善し、NT-Pro BNPもより低下した。副作用も少なかった。

というわけで、AF患者さんへのrate controlのfirst line therapyとしてはジギタリスのほうがいいんじゃないかという結果です。現時点(2020年9月2日)で論文はまだのようです。

なお、演者のKotecha先生は以前Lancet(Lancet. 2014 Dec 20;384(9961):2235-43.)にβ遮断薬は心房細動の予後を改善しないとのメタ解析結果を報告した先生です。

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また、JACC(J Am Coll Cardiol. 2017 Jun 20;69(24):2885-2896.)にHFrEF例の安静時の心拍数とβ遮断薬投与後の予後との関係を報告しておられますが、こちらもAF例では予後改善はなく、洞調律例では心拍数にかかわらず有効で、安静時の心拍数が低いほど予後はよいとの報告をしておられます。

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JACCより引用